The Persnickety Immigrant

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日本で払った年金はアメリカで受け取れないの?

*本時期は2020年1月現在の情報です*

記事第一弾!

今回はアメリカへK1ビザ等で完全移住した時に、日本で支払った年金をアメリカのSocial Securityに移行できるのか、調べてみました。
情報源が英語の場合にはゆるっと訳しています。

アメリカのSocial Security受給申請までは何もしなくていい!

調べてみたところ、アメリカでSocial Securityの受給申請を行うまでは、日本とアメリカで年金を収めていても、特に何もしなくていいそうです。

記載訳:
 一つの国のクレジット※をほかの国で数えたい場合には何もしなくてよい。
 もし日本の年金機構におけるクレジットを使用して、アメリカのSocial Securityのベネフィットを受けたい場合には、Social Securityオフィスがあなたが申請した際に直接日本の記録を入手します。*1

   ※クレジット: ここでのクレジットとは、アメリカにおけるSocial Security加入期間の数え方のこと。3ヶ月で1クレジット、1年で4クレジットとされる。

なので皆様、年金がもらえる年齢まで待ちましょうね!というのが結論です。
いろいろ調べたのですが、現在の条件がそのまま私たちのリタイアまで持つかということを考えると、今調べてもあまり意味はないです。

それでも調べてしまったので、以下にまとめました。興味のある方はぜひ。

そもそも、アメリカで年金ってあるの?

アメリカといえば日本のような公的年金制度がないイメージってありませんか?
実はSocial Security(直訳すると社会保障)という名前で、政府支援の年金が存在します。
細かい話は他の方が書かれているようなので割愛しますが、日本と同じように給料からSocial Securityが天引きされ、10年以上収めるとリタイア後にお金がもらえる仕組みです。

 -詳しくは:
   海外の年金制度|厚生労働省

なぜ日本で収めた年金がアメリカでも有効なの?

では、異なる国へ納付した年金をどうして一つのものとして数えられるのでしょうか。
それは「社会保障協定」を2005年に日本とアメリカが結んでいるからです。
この社会保障協定は元々、駐在員等が日本とアメリカの二ヶ国において年金を収めなければならなかったこと、年金納付通算期間が海外で働いていた時期の分少なくなってしまうことから、締結されたようです。
ありがとう、政府!

 -詳しくは:
   社会保障協定|日本年金機構
   海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)|厚生労働省

ただし、実際に年金支払い記録が"transfer”(移行)されるわけではないということ。

記載訳:
 他国でのクレジットを各国がみなしとして数えるかもしれないが、あなたのクレジットは実際に国から国へと移行されるわけではない。あなたが得たクレジットはその国に記録として残り、その国でのベネフィットに換算することも可能である。*2

では実際の年金受領ケースはどうなるの?

考えられる年金受領ケースとしては以下があげられます。
 1)アメリカからSocial Securityを受領する場合
 2)日本から年金を受領する場合
 3)両国からの年金を受領する場合

1)アメリカからSocial Securityを受領する場合

Social Securityを受領する最低条件として10年間(40クレジット)の納付が求められています。
アメリカで10年以上もしくは日本での納付を足して10年以上の場合があてはまります。

年金支払条件訳:
 もしアメリカのSocial Securityにおいて年金受領のための十分なクレジットがない場合、日本とアメリカのクレジット履歴によって部分的なベネフィットをアメリカから受けることが可能な場合があります。
 しかし、日本のクレジットを換算するためには、少なくとも6クレジット(1年半)のアメリカでの年金納付が必要になってきます。
もしアメリカにおいてベネフィット受領資格を得ている場合(10年以上の納付)、アメリカはあなたの日本でのクレジットをカウントすることができません。*3

なんと、アメリカで10年以上働いた場合にアメリカのSocial Securityのみを受領しようとすると、日本で支払った年金はアメリカのものに加算されません!

アメリカでの就業が10年以下の場合にはSocial Security額の計算方法が以下の通りとなります。

記載訳:
 もし日本とアメリカの年金納付期間を合わせて10年以上となった場合、最初のベネフィットはアメリカですべての期間働いたようにみなされ、アメリカでの収入がベースとなります。そしてこの最初のベネフィットは日本のクレジットがベネフィットを支払い可能としたとみなされ、減額がされます。減額幅はアメリカでのクレジットがどれだけあるかによるため、アメリカのクレジットが多いと減額は少なくなり、クレジットが少ないと減額は大きくなります。*4

10年以上しっかり払わないとやはり額は少なさそうですね。

2)日本から年金を受領する場合

日本でも同じく10年間の加入が年金受領の条件となっています。
日本で10年以上、もしくはアメリカでの納付を足して10年以上の場合があてはまります。

年金支払条件訳:
 日本のベネフィットを取得する権利がある場合、両国からの社会保障のクレジットとしてみなすことが可能です。日本とアメリカのクレジットを含めるためには、少なくとも日本での一か月以上のクレジットが必要です。*5

これって、もしかして日本とアメリカから年金もらえるの?

年金機構によると以下のことが言えるそう。

抜粋
 「日本の年金制度から将来老齢年金を受けるためには原則10年以上の年金加入期間が必要ですが、日本国籍を有する人が20才から60才までの間に海外に在住した期間は、「合算対象期間」として年金加入期間と同じ取扱いを受けるので、年金加入期間と合算対象期間をあわせて10年以上あれば、将来老齢年金を受けることができます。
 また、社会保障協定の年金加入期間の通算の考え方に基づき、協定相手国の年金加入期間も、日本の年金加入期間とみなして取り扱われることができます。(日英・日韓協定を除く)
 ただし、年金額は、実際の年金加入期間や納めた保険料に応じて計算されますので、合算対象期間は年金額の計算の対象にはなりません。」*6

つまり、年金受給資格はもらえるので支払いはされるが、金額は納付金額によっては大した事ないかもしれないよ、ということ。
そしてなんと、日本国籍であれば海外に住んでいる間に年金を払っていなくても、受給資格期間としてみなされます。*7

ちなみにねんきんネットにおいて、今までの年金納付額から受領金額を試算することが可能です。
納付が10年以下でも計算して出してくれるので十分指標にはなります。
(もちろん現在の情報なので、将来変わることもあり得るし、インフレを加味すると大したことのない金額かもしれない。)

 -詳しくは:
   ねんきんネット|日本年金機構

もちろん、日本の年金をアメリカで受け取った場合には、アメリカでの課税対象になるのでご注意を。

3)両国からの年金を受領する場合

日本で10年以上、アメリカで10年以上勤務した場合には両国からの年金を受領することが可能です。
この場合は両国の年金受領資格を満たしているため、日本とアメリカからの年金を受領することが可能です。

しかし、アメリカの年金金額が減額されることもあります。
Windfall Elimination Provision(棚ぼた防止規定)という法律により、アメリカのSocial Security Taxを支払わなくてよい企業に務めていた場合にはSocial Securityが減額されるそうです。
つまり日本にある企業は対象となるため、結局日本の年金から金額が引かれるようです。
ただし、30年以上アメリカにおいてSocial Securityを収めていると例外となるようです。*8

両国から減額なしで受け取ったとしても、金額によっては課税対象となります。

では年金受給時にどうやって申請するの?

Social Securityは申請しないともらえません。
なので、リタイアの時(1960年以降生まれの人は67歳)に書類をそろえて提出が必要です。*9
減額はされますがリタイアより早く受領することも可能ではあります。

アメリカに住んでいる場合には、Social Security Administrationへの申請が必要です。*10
日本の年金、アメリカのSocial SecurityどちらもSSAへの申請のみで可能です。
この際、Social Securityオフィスを訪れるか、J/USA 1のフォームへの記入が必要となっています。

重要なのはここで日本とアメリカの両国から年金を受け取れる可能性が示唆されています。

記載訳:
 一つの国に申請して、他国へのベネフィットの申請をすることも可能です。申請情報は他国に送られます。その各国が各自の法律に則って、他国のクレジットを申請を処理し、決定するとお知らせされます。*11

もしかしたら、両国から年金をもらえるかもしれませんね。

最後に

今回調べてみたところによると、2020年1月現在は日本とアメリカの両国から年金を受領することは行えそうな感じがしますね。

これから国際情勢が変わったり日本の年金システムが変わったりして、ここに書いてある通りには行かない可能性もでてくるので過剰な期待は禁物。
しかも国籍問題も絡んでくるようなので、またややこしい。

夫にはもう払ったお金はsunk costなのだから、気にするな!と言われましたが(笑)、気になるんだよ!の気持ちでまとめてみました。
どなたかの「気になる」が満たされれば幸いです。

※間違っている情報などあればご指摘ください!


この記事の情報は2020年1月現在のものであり、またここに記載された内容によって被った損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

*1:ソース: Totalization Agreement with Japan > How Credits Get Counted https://www.ssa.gov/international/Agreement_Pamphlets/japan.html

*2:ソース: Totalization Agreement with Japan > How Credits Get Counted https://www.ssa.gov/international/Agreement_Pamphlets/japan.html

*3:ソース: Totalization Agreement with Japan > How Benefits Can Be Paid https://www.ssa.gov/international/Agreement_Pamphlets/japan.html

*4:ソース: Totalization Agreement with Japan > Computation Of U.S. Benefit Under The Agreement https://www.ssa.gov/international/Agreement_Pamphlets/japan.html

*5:ソース: Totalization Agreement with Japan > How Benefits Can Be Paid https://www.ssa.gov/international/Agreement_Pamphlets/japan.html

*6:ソース: Q. 海外に在住する日本人は、国民年金に任意加入しないと、将来日本の老齢年金を受けられなくなってしまうのですか。 https://www.nenkin.go.jp/faq/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotsu/20120125-05.html

*7:ソース: 合算対象期間 (日本年金機構) https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/jukyu-yoken/20140421-05.html

*8:詳しくは: https://www.ssa.gov/planners/retire/wep.html

*9:年齢について詳しくは: Benefits By Year Of Birth (Social Security Administration) https://www.ssa.gov/planners/retire/agereduction.html

*10:日本からの申請の場合はこちら: 協定相手国別の注意事項(アメリカ) (日本年金機構) > 9 .アメリカ年金の申請方法 https://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyoteiaite_chui/usa.html#cms09

*11:ソース: Totalization Agreement with Japan > Claims for benefits https://www.ssa.gov/international/Agreement_Pamphlets/japan.html#claims